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2026.10.30
日本で会社設立|株式会社と合同会社の違いは?設立費用・手続きの流れと外国人・海外企業の注意点

海外企業や外国人が日本で会社設立を検討する際、まず決めるのが「株式会社」と「合同会社(LLC)」のどちらを選ぶかです。法定の設立費用は、電子定款を使う場合で株式会社が最低約16万5,000円、合同会社が最低6万円と差があります。一方、代表者が日本に住所を持たなくても設立登記は可能で、2015年3月以降は代表取締役全員が海外居住でも申請が受理されています(法務省)。本稿では、日本の会社設立における2つの会社形態の違い、設立費用、手続きの流れ、外国人・海外企業特有の注意点を整理します。
1. 株式会社と合同会社の主な違い
出資者の責任:どちらも出資額を限度とする有限責任で、資本金は1円以上から設立できます(ジェトロ)。
機関設計:株式会社は原則として毎年の定時株主総会が必要で、取締役には任期があります。合同会社は法定の役員や任期がなく、社員総会の開催も不要です(ジェトロ)。
出資持分の譲渡・資金調達:株式会社の株式は原則として譲渡自由で、将来の株式公開も可能です。合同会社の持分譲渡には社員全員の同意が必要で、株式公開はできません(ジェトロ)。
利益配分と決算公告:合同会社は定款で出資比率と異なる利益配分を定めることができ、決算公告の義務もありません(ジェトロ)。
組織変更:合同会社から株式会社への組織変更は可能なため、小さく始めて後から株式会社に移行する選択肢もあります(ジェトロ)。
2. 設立費用の比較(法定費用)
2-1. 定款認証手数料(株式会社のみ)
株式会社の定款は公証人の認証が必要です。手数料は資本金100万円未満で3万円、100万円以上300万円未満で4万円、それ以外は5万円です(日本公証人連合会)。
2024年12月1日からは、資本金100万円未満で、発起人全員が個人かつ3人以下、発起設立、取締役会を置かない、の3条件をすべて満たす場合、1万5,000円に引き下げられました(日本公証人連合会)。発起人に法人が含まれる海外企業の子会社設立は、この減額の対象外です。
紙の定款には収入印紙4万円が必要ですが、電子定款であれば不要です。合同会社の定款は公証人の認証自体が不要です(日本公証人連合会、法務省)。
2-2. 登録免許税
設立登記の登録免許税は資本金の0.7%で、最低額は株式会社15万円、合同会社6万円です(法務省、中小企業庁)。
市区町村の「特定創業支援等事業」の証明を受けると税率が0.35%に軽減され、最低額は株式会社7万5,000円、合同会社3万円になります(中小企業庁)。
資本金を3,000万円とした場合、登録免許税はどちらの形態でも21万円です(資本金×0.7%)。
3. 会社設立の基本的な流れ
①基本事項の決定:商号、本店所在地、事業目的、資本金、役員、事業年度などを決めます。外為法上の指定業種に当たるかもこの段階で確認します。
②定款の作成・認証:株式会社は公証役場で定款認証を受けます(実質的支配者となるべき者の申告も必要)。合同会社は認証不要です。
③出資の履行:発起人・社員が資本金を払い込みます。合同会社では設立登記の時までに出資の全額を払い込む必要があります(法務省)。
④設立登記の申請:本店所在地を管轄する法務局へ、書面またはオンラインで申請します。会社は設立登記によって成立します(法務省)。
⑤設立後の届出:税務署・都道府県・市区町村への法人設立届、社会保険・労働保険の手続き、銀行口座の開設などを行います。
4. 外国人・海外企業特有の注意点
代表者の住所:代表取締役の全員が海外に居住していても設立登記を申請でき、日本人である必要もありません(法務省)。ただし外国会社の支店の場合は、日本における代表者のうち1名以上が日本に住所を有する必要があります(ジェトロ)。
サイン証明書・宣誓供述書:日本で印鑑登録をしていない外国人は、記名押印に代えて署名し、本国官憲等が作成したサイン証明書を添付します(法務省)。親会社の存在や代表権限は、本国の公証人等が認証した宣誓供述書で証明するのが一般的です(ジェトロ)。
外為法の手続き:外国投資家による会社設立は対内直接投資等に当たります。指定業種以外では事後報告となり、報告期限は投資実行から45日以内です。指定業種では日本銀行経由で事前届出が必要で、受理から原則30日間は投資を実行できません(財務省、日本銀行)。
在留資格:外国人が日本に住んで自ら経営する場合は在留資格「経営・管理」が必要です。2025年10月の改正で資本金等3,000万円以上などの要件が設けられたため、資本金の設計はビザ要件と合わせて検討する必要があります(ジェトロ)。
海外投資家・日本進出企業にとってのポイント
設立コストと運営の柔軟性を重視するなら合同会社、将来の外部資金調達や株式公開、取引先への信用力を重視するなら株式会社が選ばれる傾向にあります。
資本金の額は、登録免許税、在留資格の要件、許認可、取引先の与信判断に影響します。費用の最小化だけで決めず、事業計画と合わせて設計することが重要です。
外為法の事前届出が必要な業種かどうかは、定款上の事業目的だけでなく実際の事業活動で判断されます(日本銀行)。設立準備の初期段階で確認しておくと、スケジュールの遅れを防げます。
新会社の設立のほか、既存の日本企業への出資や買収によって日本に進出する方法もあります。時間・コスト・事業の立ち上がりを比較したうえで進出形態を選ぶことをお勧めします。
FinGroupは、日本進出、日本での資金調達、クロスボーダーM&Aに取り組む企業・金融機関向けにIR・PR・FAサービスを提供しています。詳しくは投資銀行事業および金融メディアThe 3%をご覧いただくか、お問い合わせフォームよりご連絡ください。在留資格の要件については経営・管理ビザの新基準、買収による日本進出については日本企業M&Aの流れもご参照ください。
出典
法務省「株式会社の設立手続(発起設立)について」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00134.html
法務省「合同会社の設立手続について」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00141.html
法務省「外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00104.html
日本公証人連合会「会社の定款認証手数料の改定」 https://www.koshonin.gr.jp/chg_teikanfee
日本公証人連合会「Q7. 認証の手数料」 https://www.koshonin.gr.jp/notary/ow12/12-q7
中小企業庁「会社設立時の登録免許税の軽減について」 https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/chiiki/registration-license-tax/index.html
ジェトロ「1.2 拠点形態の比較」 https://www.jetro.go.jp/invest/setting_up/section1/page2.html
日本銀行「外為法Q&A(対内直接投資・特定取得編)」 https://www.boj.or.jp/about/services/tame/faq/data/tn-qa.pdf
財務省「対内直接投資審査制度について」 https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/gaitame_kawase/fdi/index.htm
画像:FinGroup オリジナル
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