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2026.10.23

日本のM&A動向|1〜9月は3,883件で過去最多、海外勢による日本企業買収は21.2%増

M&A調査のレコフデータによると、2026年1〜9月の日本企業が関わるM&A件数は3,883件(前年同期比5.0%増)と、3年連続で同期間の過去最多を更新しました。このうち海外企業・投資家による日本企業の買収(OUT-IN)は326件(同21.2%増)で、こちらも同期間の最多となりました。日本市場への参入を検討する海外企業と、海外市場や海外資本を求める日本企業の双方にとって、日本をめぐるクロスボーダー資本の動きを映すデータです。

1. 全体:件数は最多、金額は21.1%減

  • 合計:3,883件(5.0%増)、金額22兆8,024億円(21.1%減)
  • IN-IN(日本企業同士):3,090件(4.7%増)、6兆6,113億円(43.1%減)
  • IN-OUT(日本企業による海外企業の買収):467件(2.5%減)、9兆9,953億円(22.3%減)
  • OUT-IN(海外企業による日本企業の買収):326件(21.2%増)、6兆1,957億円(41.0%増)

件数の前年同期比増加率は、1〜3月期10.0%、4〜6月期1.1%、7〜9月期4.3%でした。金額の減少は、前年同期にNTTによるNTTデータグループの完全子会社化など大型のグループ内再編があったことが主因とされています。なお、2025年通年のM&A件数は5,115件でした。

2. 海外勢による日本企業買収:金額はすでに前年通年を上回る

日本経済新聞は、2026年1〜9月のOUT-INの金額がすでに2025年通年を上回ったと報じています。報道などで挙げられている背景は次の通りです。

  • 円安:ドルなど外貨で資金を調達する投資家にとって、日本企業の買収コストが相対的に低下
  • 事業ポートフォリオの見直し:東京証券取引所が2023年から上場企業に資本コストや株価(PBR)を意識した経営を要請し、ノンコア事業の売却が進展
  • 買収ルールの国際化:経済産業省が2023年に「企業買収における行動指針」を公表し、取締役会による真摯な検討と株主への情報提供を求めた
  • 投資ファンドの存在感:投資会社が関与したM&Aの金額は前年同期比14%増の約5兆5,000億円。米アポロ・グローバル・マネジメントが運用するファンドによる日本板硝子の非公開化は9月30日に手続きが完了

また、事業承継を目的としたM&Aは833件と1割超増え、比較可能な2007年以降で同期間の最多となりました。2027年から強化される高所得者向けの最低税負担制度を前に、事業売却を検討するオーナー経営者が増えていると報じられています。

3. 日本企業の海外M&A:件数は小幅減少

日本企業による海外企業の買収(IN-OUT)は467件で2.5%減、金額は22.3%減でした。レコフのクロスボーダー統計によると、2026年1〜9月の対象国は米国が最も多く、ASEANではシンガポール、マレーシア、タイ、ベトナムの順となっています。

海外企業・日本企業にとっての意味

  • 日本に進出する海外企業・投資家:日本企業の買収や出資は、市場参入の主要なルートの一つになっています。事業承継案件の増加は、中堅・中小企業の案件機会の拡大を意味します。一方で、一部の指定業種では外為法に基づく事前届出が必要となるほか、デューデリジェンスや雇用慣行、コミュニケーションの進め方も海外とは異なり、事前の準備がより重要になります。
  • 海外展開を目指す日本企業:円安により円換算の海外買収コストは相対的に上がっていますが、米国やASEANは引き続き主要な対象地域です。技術やブランドを持ち、海外での成長や海外資本を求める日本企業にとっては、海外の戦略投資家やファンドの受け入れも事業再編の選択肢になっています。
  • 共通するポイント:クロスボーダー取引では、双方の市場ルールの理解、投資家との対話(IR)と広報(PR)、取引ストラクチャーや企業価値評価に関する専門的な支援(FA)が成否を左右します。

FinGroupとThe3%について

FinGroupは東京を拠点に、主に金融機関向けにIR・PR・FA(ファイナンシャル・アドバイザリー)サービスを提供し、海外企業の日本進出や日本での資金調達、日本企業の海外展開や海外資本とのマッチングを支援しています。会員ネットワークを通じて促成した資本は約22.1億米ドルにのぼります。グループのウェルスメディア The3% は、リサーチレポート、イベント、ランキング、コミュニティを通じてアジアの富裕層投資家と日本市場をつないでおり、会員数は約16,000名(無料会員・有料会員を含む)です。クロスボーダー資本や日本市場に関するリサーチレポートの全文は THE 3% CLUB 会員向けに提供しています。日本進出、日本での資金調達、クロスボーダーM&Aに関するご相談は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。

出典

  • レコフデータ(MARR Online)「2026年1-9月期のM&A件数、3883件で最多更新。金額は22兆8024億円で21.1%減」(2026年10月2日)
  • 株式会社レコフ「クロスボーダーM&A マーケット情報」(2026年10月閲覧)
  • 日本経済新聞「日本企業M&A、1〜9月は過去最多 外資による買収額はや前年超え」(2026年10月13日)、Nikkei Asia(2026年10月14日)
  • 政経Focus(2026年10月、日本経済新聞報道を引用)
  • 経済産業省「企業買収における行動指針」(2023年8月)

アイキャッチ写真:rawpixel.com / Wikimedia Commons、CC0(トリミング・文字入れ加工)。

免責事項:本記事は情報提供のみを目的としており、投資勧誘や助言を行うものではありません。